ロックンロールに蟀谷を

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再読しろ!―[書評]イニシエーション・ラブ

イニシエーション・ラブ』を読了。以下、ネタバレはないけれど、完全に純粋な気持ちで本書を読みたい人は、もしかしたら以下は先に読まないほうがいいかも。


友人が絶賛する本であっても、自分に合わない本もあるのだな。そんな当たり前のことに改めて気づかせてくれた。それだけの本。
そんな評価で終わりそうだなと思いつつ読んでいた。最後の最後まで。我ながらよく最後まで読んだなと思う。しかし、最後まで読まずに止めてしまっていたらと思うとゾッとする・・・。
実は半分読んだ時点でやめようかと思った。なんじゃこのフツーのラブコメはと。いや、でも友人の絶賛していた本だから、このあと何かどんでん返しがあるはずだと思って読み進めた。が、7割読んでも8割読んでも、9割読んでも、これといったどんでん返しもでてこなかった。
本文の最後のページにさしかかったとき、んっ?と、なにか違和感を感じたんだけど、その正体に気づくことはできず、そのまま最後まで読み進めた。違和感のピークは、最後の2行。あれ、なんかこの本変じゃない?と思った。でも何がどう変なのかわからぬまま、読了。タイムアップ。そのまま「解説」に進んだ。
解説の前半は、時代背景とかも解説されてたんだけど、それよりも強調されてたのは、要するに「再読しろ」ということ。
んんん、と思って、違和感のあった最後のシーンに戻って、注意深く読み返してみる。そしたら、確かに変だった。ああ変だわ、と気づいた。そして、最後の2行にさしかかったとき、何が変だったかのかをはっきりと理解した。
どんでん返しなどではなかった。気づかぬうちに、とっくに裏返っていた。そのヒントは、隠れてすらいなかった。堂々と姿を現していたにも関わらず、ただ堂々とスルーして読んでいただけだ。最後に何かあることを期待して読んでいたというのに、その何かをスルーするとは、なんたる失態・・・。
そして、改めて最初から読み返す。うわぁ、あるわあるわ・・・。書いてあんじゃん。オレはまぬけかっ。


この本は、前半が「Side-A」、後半が「Side-B」となっている。作品の時代背景に合わせて、カセットテープのA面とB面になぞらえたようだ。
カセットテープは、A面を聴き終えるとB面の頭にくるようになっていて、またB面を聴き終えたときにはA面の頭に来るようになっている。この本を読むときにも、B面を読み終えた頃には、またA面の頭に戻りたくなっていること間違いなし!である。
本の厚さは見た目にはうすいけれど、倍量読むことになると思っておいたほうがいいでしょう。