ロックンロールに蟀谷を

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世界征服と掃除洗濯の狭間で

私たちまだ死んでない - 空中キャンプ

空中キャンプさんの名文にこんな大雑把な絡み方をするのは申し訳ない気もするけれど、9.11にこの曲を聴くというのもまた考えさせられるものがありますなぁ。


相対性理論「バーモント・キッス」(ハイファイ新書収録)

わたしもうやめた 世界征服やめた
今日のごはん 考えるのでせいいっぱい

初めてこの歌い出しを聴いた瞬間、衝撃を受けた。最初笑ったけど、すぐに謎の共感をしてしまった。そうなんだよなーって。何がそうなんだかわからなくて自分で抱いた気持ちに???だったけど、だんだんわかってきた。
世界征服っていうのは、要するに誰しもが抱く野心なんだよ。日々のto doリストにあくせくしながらも、多くの人が心に世界征服的な何かを企んでるんだ。選挙に出馬してやるぞ。小説を書いて出版社に持ち込むぞ。世界旅行の資金を貯めるぞ。趣味のコミュニティを立ち上げるぞ。ニコ動に演奏してみたUPするぞ。
「世の中を変えてやるぞ!」って、でっかいことを思う人だって、今日も明日も飯を食わにゃならんし、ローンもコツコツ返済しなきゃいけなかったり、親や子の面倒をみなきゃいけなかったりするかもしれない。相対性理論はこれを「二重生活」と称した。


大人になった今つくづく思うのは、大学受験とか実に楽な期間だったよなーってこと。だって勉強だけしてりゃいいんだもの。他に何の心配もする必要がなかった。
あのときみたいに、ただ一事を達成せんがために無心で取り組める期間っていうのは、大人になってから未だないし、たぶん今後もないんだろう。


そりゃ誰だって、「もうやめた」って言いたくなることがある。それを「大人になる」とか、「地に足をつける」と表現する人もいる。
映画「8Mile」で、エミネムが仲間にこんなことを言う場面がある。「いつ夢を捨てればいい?諦めをつけて地に足をつけるのはいつだ?」
仲間は、ぼんやりとこう答える。
「…まだ朝の7時半だぜ」
彼らもまた、世界征服と掃除洗濯の狭間にいたのだなぁと、今にして気づく。