ロックンロールに蟀谷を

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なんでそのコーヒーを飲まないの?

大学3年で就職活動をしていた頃、いわゆる「リクルータ面談」ってのがあって、一応説明すると、企業の採用担当の人間が特定の大学の学生を狙って非通知で電話をかけてきて、「ちょっと会いませんかー」って言ってホテルのカフェに呼び出される、まあ「裏採用」みたいなものなんだけど、「表採用」より多少はシード的な扱いになってるっぽいし、ホテルの美味しいコーヒーをご馳走してもらえるしで、とりあえず呼ばれれば行く学生が多かった。
が、だ。と思っていたのだが、である。就活も終盤、友人と「リク面」について話していて、「でもホテルの喫茶のオレンジジュースって美味しいよねぇ」みたいな話をしていたところ、なんと驚いたことに、その友人は、リク面でホテルのカフェに呼ばれても、注文したコーヒーに手もつけないというのである。
「話をされてるときって、飲み物を飲むタイミングがわからなくて・・・。」とか言うのである。何を言ってるんだ、コーヒーを口に運ぶ作業で別に目も耳もふさがらないでないか。
それから気になって何人かの友人に聞いてみたところ、やっぱり飲み物を全く飲まないという人が何人もいた。リク面に限らず、例えば面接先の会社でコーヒーを出されても、やっぱり大抵飲まないというのである。
特に意識してないけど、飲まないことが多いねという者もいれば、「面接中に飲み物を飲むなんて失礼だから飲まない」なんて言う者もいるのである。何を言ってるんだ。じゃあなにか、相手はこっちが面接中に飲み物を飲むような失礼なやつかどうかを判断するために、わざわざ飲むべからざるコーヒーを出してくるってことか。


今ちょうどアルバイトで働いてもらう学生を増やすために、ガンガン面接をしまくってるわけだが、はっきりいって私は、来てくれた学生一人一人に、その場で手挽きミルで豆から挽いたコーヒーを淹れているのである。学生を待たせておいて、ガリガリ豆を挽いて、丁寧にドリップしているのである。が、半数くらいの学生が全く手をつけないのである。完全に飲み干す学生にいたっては4分の1程度かそれ以下だ。
別にコーヒー嫌いな人にまで、せっかく淹れたんだから気を遣って飲めよと言いたいわけではなくて、もしもこっちに気を遣うゆえに「飲まない」んなら、それって何か変だと思わない?と言いたいのである。
自分の作った料理をむしゃむしゃ食べる相手を見て、「礼儀知らずだ」とか「いじきたない」なんて思う人がいるか。
公的なメールの書き方がわかってないとか、敬語を正しく使えてないとか、そういうのは学んでいけばいいことだと思うけど、もっと根本的なものだと思うんだよな。社会人だろうが学生だろうが、人のことを考えながら人と付き合うようにしていれば、普通に気がつくことなんでないだろうか。相手にお金を出してもらって頼むコーヒー、または相手に淹れてもらったコーヒーに全く手をつけない人と、冷めないうちに飲み干して、帰り際に「ごちそうさまでした。美味しかったです」って笑顔で言う人と、どっちが魅力的かってことくらい。


繰り返すけど、気を遣って飲めということではない。国によっては、出された料理を少し残すのが礼儀だって文化もあるし、そういうマナーを考えだすなら、それはめんどくさいよねと思う。